月某日午後、〇〇市内の動物園で、柴犬の子犬がライオンの展示エリアに入り込むという異例の事態が発生した。園内は一時騒然となったが、その後の展開は多くの来園者や職員の予想を覆すものだった。
事件が起きたのは、地元小学校の団体見学中。リードをつけて連れてこられていた子犬が、飼い主の不注意によりフェンスの隙間からライオンの飼育区域へ入り込んだ。周囲にいた来園者は、子犬がライオンのもとへ小走りで向かっていく様子を目撃し、悲鳴を上げたという。
当時、その区域には成獣のライオンが静かに横たわっていた。職員らは緊急対応に入り、麻酔準備を開始。最悪の事態が懸念されるなか、ライオンは子犬に敵意を見せることなく、静かに頭を上げて様子をうかがった。
現場にいた職員によると、ライオンは子犬の存在を受け入れた様子で、鼻を近づけて匂いを嗅ぎ、さらに自ら横たわりながら子犬の頭をなでるような仕草を見せたという。子犬もまた、ライオンに対して怯えることなく、親しげに振る舞った。
このライオンは数週間前に子を病気で失っており、その後、食欲の低下や無気力な様子が確認されていた。動物園関係者は、今回の出来事がライオンの精神的な回復につながった可能性があると見ている。
動物園側は、ライオンと子犬の様子を継続的に観察することを決定。48時間にわたり設置されたカメラと獣医師による監視のもと、2頭は共に行動し、食事や睡眠を共有するなど強い絆を見せていた。
子犬は「チャンス」と名付けられ、現在もライオンの飼育スケジュールの一部として、管理のもと同じスペースで生活している。来園者の間では、異種間の交流に感動する声が広がっており、SNSなどで拡散された映像は多くの注目を集めている。
動物園側は、今後も慎重に2頭の関係性を見守りつつ、安全面への配慮を徹底するとしている。