実在するとは思えない!巨大すぎる生き物たち

地球上には、広い空の下やアフリカの草原ではなく、太陽の光がまったく届かない海底で一生を過ごす巨大生物がいる。彼らが暮らすのは、海面から数百メートル、時にはそれ以上も深い場所だ。そこでは極端な水圧がかかり、周囲はほぼ永遠の闇に包まれている。科学者たちは、こうした深海にすむ生物の一部が、浅い海に暮らす近縁種よりもはるかに大きく成長する現象を「深海巨大化(ディープシー・ジャイガンティズム)」と呼んでいる。今回紹介するのは、ロボットや無人探査機のカメラによって、生きた状態で撮影された本物の深海の巨人たちだ。かつては死骸や伝説を通じてしか知られていなかった生物の姿が、ついに暗闇の中で捉えられるようになった。

深海の巨大生物を撮影する

深海生物が巨大化する理由について、科学者たちはまだ決定的な結論にたどり着いていない。ただし、有力な説はいくつかあり、それぞれが互いに関係していると考えられている。水温が極端に低い深海では代謝が遅くなり、その結果、細胞や体全体が長い時間をかけて成長できる可能性がある。また、深海では餌を安定して確保することが難しい。体が大きければエネルギーを蓄えやすく、次の食事まで長く生き延びられるため、生存競争で有利になるとみられている。さらに、光のない高圧環境では獲物を探すことも捕食者から逃れることも容易ではないため、小さな体を維持することが必ずしも有利とは限らない。

ここで取り上げるのは、餌を求めて一時的に深く潜る生物ではなく、生涯を本格的な深海で過ごす種類に限られる。かつて人々がその存在を知る手がかりは、海岸に打ち上げられた巨大な死骸や、漁網に偶然入り込んだ正体不明の生物だった。生きた姿を自然の生息環境で撮影することが可能になったのは比較的最近のことで、とりわけ過去15年ほどの間に、低照度対応カメラや遠隔操作型無人探査機、深海潜水艇の技術が大きく進歩した。

画期的な発見の多くは、米国周辺の海域や米国の研究船による調査で実現している。米国海洋大気庁(NOAA)の「オケアノス・エクスプローラー」、オーシャン・エクスプロレーション・トラストの調査船「E/Vノーティラス」、そしてカリフォルニア州に拠点を置くモントレー湾水族館研究所(MBARI)は、ロボットを使ってメキシコ湾や太平洋の遠隔海域、さらには海洋の最も暗い領域を継続的に調査している。海の地理的な認識そのものも変化しており、2021年にはナショナル ジオグラフィックとNOAAが南極海を世界で5番目の海洋として正式に位置づけた。この名称は、米国地名委員会が1999年から使用していたものだ。

フロリダ沖では巨大なイカが撮影され、別の海域では、映像に映っていたサメの正体が何年も後になって判明した例もある。ここからは、生きた状態で撮影された代表的な深海の巨大生物と、その大きさの秘密、そして存在を裏付ける貴重な映像について見ていこう。

ダイオウイカ

ダイオウイカは、何世紀にもわたって海の怪物クラーケンの伝説と結びつけられてきた。自然の生息環境で生きた姿が撮影されるまでには長い時間がかかり、最初の成功例となったのは2012年、日本の小笠原諸島沖で行われた調査だった。その後、米国の海域で生きたダイオウイカが撮影されるまで、さらに数年を要した。

転機が訪れたのは2019年6月19日。研究者エディス・ウィダー率いるNOAA支援チームが、特殊な低照度撮影装置「メデューサ」を使い、メキシコ湾で若いダイオウイカを撮影した。電子式の発光クラゲを餌に見立てて誘い出す方法が採用され、ニューオーリンズの南東約160キロ、水深およそ1,000メートルの場所で、全長約3〜3.7メートルの個体が確認された。しかし、その姿をカメラが捉えていた時間は30秒にも満たず、イカはやがて暗闇の中へと姿を消した。

ダイオウイカは、その名にふさわしい巨大さで知られる。全長は9メートルを超えることが確認されており、獲物を捕らえる2本の長い触腕まで含めると、12メートル以上に達するという報告もある。特に注目されるのが目の大きさだ。直径は最大約25センチにもなり、現存する動物の中で最大級の目を持つ。光がほとんどない深海で、捕食者であるマッコウクジラが発するかすかな生物発光を察知するために発達したと考えられている。

リュウグウノツカイ

生きたリュウグウノツカイが撮影される以前、世界最長の硬骨魚類について科学者が得られる情報の多くは、海岸に流れ着いた死骸からもたらされていた。この魚は通常、海面から数百メートル下の薄明かりが届く深さに生息している。海面付近に現れるのは、病気や負傷、あるいは死が近い場合などが多いとされる。そのため、海底近くで垂直に泳ぐ生きた個体を撮影することは、海岸に打ち上げられた死骸を発見するのとはまったく異なる、非常に珍しい出来事だ。

自然環境で泳ぐ姿を鮮明に捉えた映像として知られるのが、2011年8月に撮影されたものだ。ディープウォーター・ホライズンの原油流出事故による被害を調査していた遠隔操作型無人探査機が、メキシコ湾の水深約111メートルで、体を垂直に保ちながら泳ぐリュウグウノツカイを記録した。この調査はルイジアナ州立大学の研究者マーク・ベンフィールドらが主導し、映像は2013年に『Journal of Fish Biology』誌で発表された。当時、自然の生息環境における同種の姿を捉えた映像として、特に鮮明な記録と評価された。

確認されたリュウグウノツカイの全長は最大約7.9メートルに達する。ギネス世界記録に認定された個体は、1885年にメイン州沖で捕獲された約7.6メートルの魚だ。一方、古い記録には約15メートルに達したという未確認の報告も残されている。

2024年のカリフォルニア州では、リュウグウノツカイの死骸が相次いで海岸に打ち上げられた。8月にはラホヤ・コーブで全長約3.7メートルの個体が見つかり、同年11月にはエンシニータスでも別の個体が発見された。後者はスクリップス海洋研究所の研究者らによって調査された。これらは生きた姿の目撃例ではないものの、1901年以降にカリフォルニアの海岸で記録されたリュウグウノツカイとしては、それぞれ20例目と21例目に当たる。

ダイオウグソクムシ

ダイオウグソクムシは、庭の石の下などで見かけるダンゴムシを、硬い鎧で覆って巨大化させたような姿をしている。この見た目には理由があり、両者は実際に同じ等脚類の仲間だ。ダイオウグソクムシは冷たく水圧の高い深海に適応する過程で巨大化したと考えられており、この現象は深海巨大化と呼ばれる。今回紹介する生物の中にも、同じような特徴を持つ種類がいる。

確認された個体の体長は最大約50センチ。生涯を通じて海底で暮らし、クジラや魚などの死骸を食べて生活する。主な生息域にはメキシコ湾やカリブ海の海底が含まれ、水深はおよそ300〜2,100メートルに及ぶ。そこは太陽光が届かない深海の領域であり、独特の生物群が暮らす場所でもある。

NOAAの調査船オケアノス・エクスプローラーは、メキシコ湾での複数の探査においてダイオウグソクムシを撮影してきた。2021年の調査では、水深約810メートルの海底を歩く、体長約30センチの個体が記録された。撮影装置に取り付けられたレーザーの点は約10センチ間隔で配置されており、映像に映った個体の大きさを把握する目安になった。

深海に生息する巨大なゴキブリを思わせる外見は少々不気味だが、人間に危害を加える生物ではない。深海探査が進むにつれて知名度が高まり、現在では深海の世界を象徴する生物の一つとなっている。

ミツクリザメ

2019年以前、生きたミツクリザメ(Mitsukurina owstoni)を人間が目にする機会は、偶然釣り針にかかり、深海から引き揚げられた場合がほとんどだった。サメの研究者たちでさえ、自然の生息環境で泳ぐ姿を直接観察したことはなかった。

状況が変わったのは2019年7月。オーシャン・エクスプロレーション・トラストが運用する遠隔操作型無人探査機「ヘラクレス」が、中央太平洋のジャーヴィス島近海にある無名の海山付近で潜航調査を行った。ジャーヴィス島は無人の米国領で、太平洋離島海洋国定記念物の一部に含まれている。水深約1,237メートルに達したとき、探査機のカメラの前を1匹のミツクリザメが静かに通り過ぎた。体長は約3.4メートルで、50歳を超えていると推定されたオスだった。

当時、船上の調査チームは映像に映ったサメの正体に気づかなかった。その記録は遠征のアーカイブに保管されたままとなり、数年後、ハワイ大学の研究者が映像を確認したことで、ようやく重要な発見として注目された。この成果は2026年に公表され、さらに2024年にトンガ海溝で撮影された別のミツクリザメの記録も紹介された。後者は水深約1,997メートルで確認されており、同種について現在知られている最も深い場所での確実な記録とされる。

ミツクリザメは全長約6メートルに達することがあり、現存する大型のサメの一種に数えられる。前方に突き出した特徴的な吻と、獲物を捕らえる際に素早く前へ伸びる顎が大きな特徴だ。深海で暮らすこのサメの生態には、まだ解明されていない部分が多く残されている。